やぶれ&かぶれ

ぼろぼろの人が主に職場で書く日記

小さいバッグを持って出歩きたい

この頃服などはもっぱらネットで買っている。最近は服を着ているモデルの身長や体重も表記してあったりして、自分が着るイメージがしやすくなっており、届いて失敗ということもあまりない。ある時、このバッグいいじゃんと思って画像をクリックするとモデルがそれを持っている写真が出てきたのだが、実際に人がそれを持つ姿を見たら思ってたよりめちゃくちゃに小さくてびっくりしてしまった。「スマホと財布」すら入らなさそうな、スマホしか入らなさそうな。リカちゃん人形サイズは言い過ぎだが、着せ替え人形ぽぽちゃん用のグッズですと言われても納得してしまいそうなサイズ感だったのだ。

時代は小バッグなのである。確かにカードやスマホで大体の支払いはできるし、財布すらいらないのかもしれない。荷物をたくさん持つこと自体がダサいのかもしれない。わかってはいても不安すぎる自分がいる。スマホで支払いはできるかもしれないけど、たまにあるスマホの電池が異様に早く減る現象が今日その日に起こったら。何かの障害で突然スマホ決済やカードが使えなくなったら。というか大きい地震が起こったら。そう思うと財布など置いていけるわけがない。今のご時世、マスクを落とすなどしたら終わりで、ノーマスクで人のいる場所に行ったら石を投げられ罵詈雑言を浴びせられる。それを考えると予備のマスクも必要だ。あとアルコール除菌スプレー。どこ行っても置いてあるけど、たまたまアルコールが無い所で何か不潔なものに触ってしまう場面があるかもしれない。いきなりどこか痛くなるかもしれないから鎮痛剤も必要だ。いきなり喉が痛くなるかもしれないからのど飴も。そんなことをしていると必要な物だらけになってしまう。カバンの中は「突然」「たまたま」「かもしれない」でいっぱいだ。そもそも「おそらく起こりえない事」に対して過剰に備えてしまうのは、クラスで面倒な委員を決める20分の1のはずれくじを引いたり、普通に交通事故に遭ったり、皆何も起きていない時に自分だけ悪いことが起こることがよくあったからだ。たまに海や公園に遊びに行くと私だけにカモメやカラスのフンが落ちてくるのはどうしてなのか。小さいバッグを持つ人はこんな小さなあれこれに巻き込まれたことはなく、生い立ちから完全に私とは違うのかと思うと余計にあこがれてしまう。私も小さいバッグを持って出歩きたい。

運の悪さやどん臭さはもうどうしようもない。オシャレになるにはセンス以前に、容姿以前に、せめてこの不安を振り払う必要がある。マスクを落としたらその辺で買えばいい。のどが痛くなったら、鎮痛剤が必要になったらその時に買えばいいのである。毎日天気予報のアプリで時間ごとの降水確率をチェックし、にわか雨に備えて折り畳み傘を持っていくか否かについて熟考しているのはオシャレか?帰り道に雨に降られても「たまには雨に濡れて帰るのも良いじゃない?」って映画みたいなこと私も言ってみたい。昔のことをほじくりかえして思い出しては落ち込んで恥ずかしさに悶えたり、先のことをあれこれ考えて不安になる、後先考えまくりの人生を送ってまいりましたが、これから年をとって力も無くなってきますので余計なことを考えず身軽に生活していきたいのです。

まずは小さいバッグを買ってみようか。足りないものはコンビニで買えるじゃないか。そうだそうだ。そう思った瞬間、数年前ド田舎に住んでいた頃の記憶が蘇り「いや、そもそもトラブルの際コンビニが近くにあるのか?最寄りのコンビニが10㎞離れているということもあり得るぞ」という不安がポコッと沸いて出て、ジワーっとにじんで広がっていく。ぽぽちゃんサイズのバッグを持ち歩くのはまだまだ時間がかかりそうだ。