やぶれ&かぶれ

ぼろぼろの人が主に職場で書く日記

料理の名前

食事の時私が作ったものを「これ何て言う料理?」と子供に訊かれてウッと言葉に詰まってしまった。何と言われても肉と野菜を適当に味付けした名もなき料理なのである。「豚肉と豆苗と卵の炒め物…かな…??」などとぼんやりした事しか言えず、子供もフーンそうなんだという感じで何のインプレッションも与えられなかった。

ここで、「ふわふわ卵と豚肉と豆苗のうま塩中華炒め」と言えない自分がいるのだ。自分が作る料理は大したものではないが決して不味くない部類だと思っている。でも、料理に名前を付ける時に「美味しいっぽい」ことを言うのにものすごく抵抗がある。自分で食べてみて美味しいと思っても、他人が食べる前に「これ美味しいよ」とアピールする自信が無いのである。

しかしクックパッドなどを見ると「うまうま炒め」とか「しみしみ煮」とか「ジューシーなんとか」とか、美味しそうな言葉であふれている。昔からある「うま煮」も、要するにただの煮物であるのに「美味しく召し上がっていただけます」という自信その一点から「煮物」ではなく「うま煮」と名乗っている。私に無い自信に満ち溢れており実にまぶしい。嫌味ではなく、心底うらやましいのである。そもそも「〇〇の炒め物」とか言ってる時点でダメなのだ。別にうまうま炒めでなくとも「〇〇の塩炒め」とか「〇〇のにんにく炒め」とか言いきった方がビジョンが明確である。逃げ場を作れるように曖昧な言い方をして結局ダメな感じになっているのだ。書いていて悲しくなってくるがこの手合いのこと自分の人生でめちゃくちゃあるあるなのである。もっとはっきりしたい。もっと言い切りたい。

 

私の職場はたいていいつも日テレがついているので自然とキューピー三分クッキングのヘビーウォッチャーとなってしまうのだが、ここで出てくる料理は「豚肉ときのこのソース炒め」とか「なんとかのケチャップ炒め」とかビジョンははっきりしている一方、何か…控えめというか、飾りっ気が無さすぎると感じることがままある。何もソースオンリーで炒めてるわけじゃないんだし、これはもっと言い方があるのでは??と思ってしまう。でもその無骨さが逆に自信にも見えるから不思議だ。キューピー三分クッキングのブランド力もあるかもしれない。

うまうまやしみしみのように「これ美味しいよ!」とまでは言えなくてもせめて「これはこういうものなんです!!」と言い切ってみようと思う。もっとはっきりしたい。